陽気な南米
1981年に朝日新聞社から出た単行本の文庫化。
1978年の『オーパ!』受けて企画された、北アメリカ→南アメリカ釣行記の3冊目。本書は南米編の上巻に当たる。
ノリとしては『オーパ!』シリーズと変わらず、開高健の文章と豊富なカラー写真が相補いながら、南米の自然や暮らしを紹介してくれる。豪快な獲物と素朴な暮らし。想像もつかないような道の生き物。「男のロマン」みたいなものは充分に感じさせてくれる一冊。
ただ、釣行記としてはちょっと物足りない。楽しい釣りが描かれてしまっており、釣りにまとわりつく孤独感とか苦しみとかが見えてこない。精神的な深みに欠ける。
はあどぼいるど、だど!(後編)
北はアラスカから南はフェゴ島まで、南北アメリカを縦断する壮大な釣行紀(1979〜1980年)の後編。ここではメキシコから南アメリカ、目的地に到着するまでが描かれる。前編と同様、舞台に不足はないから、次々に新たな発見、驚きが待っている。しかし私には不満がふたつある。まず、これは釣行紀でありながら、後編では釣りがどこかへ行ってしまって、ふつうの冒険旅行記になってしまっている点。私は彼の豪快な釣りを疑似体験したいのに、「もっと遠く!」では一応主題になっていた釣りの描写が、いくら釣果が悪いとはいえ、本書ではまったく隅に追いやられている。これが不満の第一点。 第二点は、これは冒険旅行とはいいながら、結局のところ大名旅行である、という点。筆者の一行は確かに大変な辛酸を味わったかもしれないけれど、それはより大きな楽しみのためであり、何よりも行く先々で知名の氏の厚遇を受け、資金にも事欠かず、とりわけ筆者自身は自身の旅の細々について他人任せでいられる身分である。ここがたとえば沢木耕太郎「深夜特急」との違いである。50歳にもなろうという年齢でこれだけの旅は身体にこたえるだろうとは思うが、こういうのは苦労と言わない(私の父は「自分の好きなことのためにする苦労は苦労とは言わん。意に反してさせられる苦労が苦労なんだ」と私に言ってきた。そうした立場からは、これはどう言い訳しようと遊びである)。私が「もっと遠く!」の写真で感じた不快感は、結局はそういうところに根ざしているのかもしれない。 したがって私にとって本書は大きな意味をもたない。「それはよかったね。大変だったね。お疲れさん」で終わってしまう本だと言ったら、あまりに残酷だろうか。
文芸春秋
オーパ、オーパ!!〈アラスカ篇 カナダ・カリフォルニア篇〉 (集英社文庫) オーパ、オーパ!!〈モンゴル・中国篇・スリランカ篇〉 (集英社文庫) 私の釣魚大全 (文春文庫 か 1-2) オーパ、オーパ!!〈アラスカ至上篇 コスタリカ篇〉 (集英社文庫) フィッシュ・オン (新潮文庫 草)
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